わんちゃん&ねこちゃんの予防医療
狂犬病ワクチンは、年一回の接種が飼い主様の義務となっております。
混合ワクチン接種で各種感染症を予防しましょう。
フィラリア症は、蚊に刺されて感染する怖い病気です。犬だけでなく猫にも感染します。血液検査にて感染の有無を確認し、毎年5月から12月まで毎月1回の投薬で予防できます。
ノミ・マダニの予防をして、安心して楽しい散歩ができるようにしましょう。
去勢・避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍、精巣腫瘍、前立腺肥大など、予防のできる病気があります。
■わんちゃん&ねこちゃんにしておきたい予防医療
①狂犬病ワクチン接種 (わんちゃんのみ) |
法定義務、毎年1回の予防接種が必要です。 |
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②混合ワクチン接種 | 毎年1回の予防接種が重要です。複数の病気が予防できます。 |
③フィラリア症 | 蚊が広げる怖い病気です。5月から12月が予防期間です。 |
④ノミ・マダニの予防 | 動物だけでなく、人にも病気をうつします。 |
■日常ケアとしてしておきたいこと
お耳のケア | かゆがったり、赤くなっていませんか? |
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お口・歯のケア | 歯石がついていませんか?臭いはどうですか? |
マイクロチップ の装着 |
動物の個体識別を目的とした電子標識器具。ICチップを背中の皮下に注射によって挿入します。迷子や災害などの混乱時にも動物と家族を結びつけることができる点で優れています。予約なしでいつでも装着可能です。 |
去勢手術・避妊手術
■なぜ去勢・避妊手術が必要なのか?
毎日引き取り手のいないわんちゃん・ねこちゃんが処分されている現状で、意図しない安易な繁殖により不幸な動物たちをふやさないため、将来繁殖を希望されていない方は手術を前向きに検討していただきたいと思います。
手術により予防できる生殖器関連の病気があり、問題行動や精神面の安定化など動物自身の健康とQOL向上のため、飼い主としての責任が問われる選択でもあります。
去勢手術・避妊手術について、悩まれていらっしゃる方は、お気軽にお声をかけてください。時間をかけて丁寧にご説明いたします。
■去勢手術とは?
●どんな手術?
全身麻酔下で両側の精巣を摘出します。
●どんな効果があるの?
性成熟前に去勢手術を行うと、マウンティングやマーキング、喧嘩や攻撃性の緩和ができます。精巣腫瘍、前立腺肥大・前立腺炎、肛門周囲腺腫瘍などの予防に効果があります。
■避妊手術とは?
●どんな手術?
全身麻酔下で両側の卵巣と子宮を摘出します。
●どんな効果があるの?
性成熟前に避妊手術を行うと、発情期特有の神経質な状態、鳴き声、発情出血などがほとんどなくなります。子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、乳腺腫瘍などの予防に効果があります。
ワクチンについて
■狂犬病予防法に関して
飼い主様には、狂犬病予防法で狂犬病ワクチン接種が義務付けられています。
生後91日以上の犬は飼い始めてから30日以内に1回、その後は毎年1回注射を受けなければなりません。また交付された注射済票を必ず犬につけておかなければなりません。
■狂犬病ワクチンに関して
狂犬病は世界中、とりわけ隣国である中国や韓国でもまだ発生が見られる病気です。中国では年間約3000人以上が狂犬病で死亡しているとの報告があります。一度狂犬病が発生してしまうと撲滅は難しくなります。国際化がますます進む中で、日本に狂犬病がいつ侵入してもおかしくありません。狂犬病の流行を避けるためには犬へのワクチン接種がとても重要となります。
狂犬病予防法に基づく犬のワクチンは、犬のためではなく、人への感染予防のためにしています。人への狂犬病感染の第一原因は犬であり、インドでは98%が犬から感染しています。犬同士での感染を抑えることで、発生からの拡大を防ぎ、人への感染を防いでいます。
強直性完全麻痺
激しい流涎(嚥下困難)
■犬の混合ワクチンに関して
■犬ジステンパー
神経症状(痙攣発作)
発熱、下痢、神経症状などが起こり、全身がおかされます。死亡率が高く、怖い病気です。治ってもいろいろな後遺症に苦しみます。
■犬アデノウイルス2型感染症
アデノウイルスによる感染症で、肺炎や扁桃炎などの呼吸器病を起こします。
■犬伝染性肝炎
目の白濁(ブルーアイ)
アデノウイルスによる感染症で、肝炎を主とし、嘔吐や下痢、食欲不振などが起こり、目が白く濁ることもあります。
子犬では突然死することもある怖い病気です。
■犬パラインフルエンザ
パラインフルエンザによる呼吸器病で、咳や鼻水、扁桃炎を起こします。
アデノウイルスや細菌と一緒に『ケンネルコフ』と呼ばれる犬のカゼ症候群を引き起こします。
■犬パルボウイルス感染症
血液の混じったひどい下痢や嘔吐を起こす腸炎型がよく知られています。そのほかに、子犬に突然死をもたらす心筋型もあります。
伝染性が強く、死亡率も非常に高い怖い病気です。
激しい嘔吐
血の混ざった、ひどい下痢
■犬コロナウイルス感染症
腸炎を引き起こす感染症。下痢や嘔吐が起こります。
パルボウイルスと混合感染すると症状はいっそう重くなります。
コロナとパルボを一緒に予防することが重要です。
■犬レプトスピラ病 黄疸出血型・カニコーラ型
細菌によって腎臓や肝臓がおかされる、人と動物共通の怖い伝染病です。
代表的なものは、歯ぐきの出血や黄疸がみられる黄疸出血型と、高熱、嘔吐、下痢を起こすカニコーラ型の2種。この他にもいろいろなタイプがあるので注意が必要です。アウトドアで活動する犬ほど感染しやすいので予防が大切です。
■猫の混合ワクチンに関して
■猫カリシウイルス感染症候群
かかり始めはくしゃみ、鼻水、発熱など、猫ウイルス性鼻気管炎に大変よく似ています。
症状が進むと舌や口の周辺に潰瘍ができることもあり、またときには急性肺炎を起こして死亡することもあります。
回復後もウイルスを排出し、感染源としても注意が必要です。
鼻の症状(鼻水) |
口の中の潰瘍 |
■猫ウイルス性鼻気管炎 FVR
ヘルペスウイルスによる感染症で、ひどいくしゃみ、咳、鼻炎などの呼吸器症状のほか、目やになどが多くなり、角膜炎や結膜炎を引き起こします。
高熱で食欲はなくなり、鼻水と涙で顔中くしゃくしゃの典型的なカゼの症状がみられます。
感染力が強く、他のウイルスとの混合感染も多いため、特に子猫の場合、重篤化し、死亡することがあります。また回復してもウイルスは体内に残り、ストレスなどで再発することがあります。
鼻の症状(鼻水) |
目の症状(目やに、涙) |
ひどい結膜炎 |
■猫汎白血球減少症
おびただしい下痢と嘔吐
パルボウイルスが病原体の、白血球が極端に少なくなる病気です。
高熱、嘔吐、強い腹痛、食欲がなくなり、血様下痢が始まると脱水症状となります。
子猫や若い猫に発症が多く、体力のない子猫などは、たった1日で死ぬこともある怖い病気です。
妊娠猫がかかると胎子へ影響します。
■猫のクラミジア病
クラミドフィラ フェリスによる感染症です。
菌は眼や鼻から侵入するため、結膜炎、鼻水、くしゃみ、咳がみられます。肺炎を起こすこともあります。人に感染して結膜炎が起きた例も報告されています。
■猫白血病ウイルス(FeLV)感染症
持続感染すると80%が3年以内に死亡します。白血病やリンパ腫などの血液のガン、貧血、流産などを起こします。
病気に対する抵抗力(免疫)が弱まるため、いろいろな病気も併発しやすくなります。
感染してから発病までの期間が大変長く、その間は見かけ上健康にみえますが、ウイルスを唾液中に排泄し、他の猫へうつします。
写真提供 メリアル・ジャパン株式会社
マイクロチップ
マイクロチップとは、動物の個体識別を目的とした電子標識器具です。注射によってICチップを背中の皮下に挿入します。
迷子や災害時にも動物と家族を結びつけることができる点で優れています。
マイクロチップ読み取り器と挿入器
レントゲン下でのマイクロチップ
犬・猫に関する疑問
■おうちのわんちゃん・ねこちゃんの年齢は、人でいう何歳?
成人式を行う20歳。わんちゃん・ねこちゃんでは、実は1歳と半年となります。
おうちのわんちゃん・ねこちゃんの年齢を、人間の年齢に換算した場合は以下のようになります。
犬猫3歳 ⇒ 人間28歳
犬猫6歳 ⇒ 人間40歳
犬猫11歳 ⇒ 人間60歳
犬猫16歳 ⇒ 人間80歳
犬猫20歳 ⇒ 人間96歳
大まかな目安であり、犬と猫、または種類によって多少違いがあります。
自分たちの年齢に置き換えて考えてみると、年1回の健康診断以外にも、年齢に応じた定期的な健康管理が必要であるということがわかります。
当院では、わんちゃん・ねこちゃんの健康診断として、ドッグドックとキャットドックの健康診断コースがあります。その子に応じたプランがご自由にお選びいただけますので、お気軽にご相談ください。
■猫のフィラリアって何?
現在、日本における猫のフィラリアの感染率は12%ぐらいと言われています。ただし、猫のフィラリア症について我々獣医師側の認識がまだ低いこと、啓蒙の足りなさから飼い主様でフィラリア症予防を行っている方が非常に少ないこと、猫専用の検査キットがないこと(犬用検査キットで代用)、臨床症状や心疾患を抱えている場合でないと心エコー検査(診断上最も有用)をする機会が少ないことなどから、実際の感染率はもう少し高いことが推測されます。
本院では、猫のフィラリア症予防を積極的に推奨しております。感染の仕組み、臨床症状、診断法、予防法などについて、お気軽にご相談ください。
■犬フィラリア症って何?
犬糸状虫感染犬の血液中に
見られたミクロフィラリア
犬糸状虫(フィラリア)が心臓や肺動脈に寄生することによって起こる病気です。感染犬から吸血した蚊によって広げられる病気で、様々な循環器障害を引き起こし、ひどいときは死に至ることもあります。咳をしたり、呼吸が苦しそうだったり、運動や散歩を嫌がったり、お腹に水がたまる(腹水)こともあります。予防が重要ですので、地域ごとに決められている投薬期間(通常5月から12月)を守り、月1回のお薬でしっかり予防してあげてください。
当院ではフィラリア検査において、寄生の検出感度の高い検査キットを使用しております。フィラリア薬に関しては、3種類準備しておりますので、コリー系のわんちゃんを飼われている方にも安心してご使用いただけるように処方いたします。
■ノミって何? マダニって何?
ノミ(左)とマダニ(右)
ノミは1~3mmの左右に平らな茶褐色の寄生虫です。お部屋、公園(草むら)など、基本的にどこにでもいる可能性があります。暖かい季節に増えますが、冬でも室内は暖かいためうつることがあります。強いかゆみ、ノミアレルギー性皮膚炎、サナダ虫寄生など動物に対して悪さをします。また、人もノミにさされることにより影響をうけます。
マダニは2~3mmの丸い寄生虫で、吸血後に体がすごく大きくなります。公園(草むら)などにいてうつります。吸血量が多いため、多数寄生で貧血を起こすことがあります。死に至る犬のバベシア症などに関与します。また、人にライム病(人獣共通感染症)などの病気を広げるマダニがいます。
首のところに液体をつけるタイプのお薬と、内服するタイプのお薬があります。月に1回のお薬でしっかり予防してあげてください。